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多細胞生物の個体を構成する多種多様な細胞は、全てその遺伝情報として同じセットのゲノムDNAを持っている。個々の細胞で異なる遺伝子の発現を維持し、細胞分裂を通じてその発現パターンを正確に伝播していくことは、その個体の発生、細胞の分化にとって必須と考えられている。近年、このような遺伝子発現の調節メカニズムとして、直接DNA一次配列の変化を伴わない、エピジェネティックな現象が注目されている。この現象を説明する代表的な機構としては、DNAのメチル化、クロマチン構造の変化、あるいはRNA分子による転写後調節などが挙げられる。最近の研究からそれぞれの現象が密接に関連している事が示唆されつつあるが、その詳細については不明な点が多く残されている。
当研究チームではクロマチン構造の変化によってもたらされるエピジェネティックな遺伝情報が、どのように継承されるのか、その分子機構の解明を目指して、分裂酵母とヒト培養細胞を用いて研究を進めている。特に私達は、1)クロマチンの基本単位ヌクレオソームを構成するヒストンの修飾と、それを認識して結合するクロマチン蛋白質に注目し、高次のクロマチン構造が形成・維持される分子機構の解明、2)動的なクロマチン構造の変化を引き起こす、ヒストン修飾酵素複合体の構造と機能の解析、を中心に研究を進めている。





2012年4月4日