期間中のレポート

平成28年8月22日(月)から26日(金)までの5日間にわたり、「大学生のための生命科学研究インターンシップ」を実施しました。今回は116名の応募があり、選考の結果、12の研究室に合計34名の大学生の受け入れを行いました。インターンシップの様子をプログラムに沿ってご紹介します。

2016年8月22日(月)初日

次々と日本に襲来する台風の合間を縫うように、34名の参加者が予定どおりCDBに集結しました。暑くて熱い5日間の始まりです。

オリエンテーション

教育プログラム担当代表の藤原裕展チームリーダーより当研究所の研究内容や連携大学院制度、また本インターンシップの概要についての説明があった後、安全管理講習会が行われ、実験時に必要な知識について学びました。
引き続いての自己紹介では、参加者の皆さんが、インターンシップに参加した目的やこれまでの研究活動や趣味にいたるまで、さまざまなトークを繰り広げました。その後、各配属研究室のラボヘッドより研究室紹介があり、いよいよ研究室へ移動です。

配属研究室での実験開始

各研究室でラボメンバーから指導を受けて実験開始です。初めは緊張していた参加者も、丁寧で熱心な指導の下、安心して実験に挑めるようになっていきます。


非対称細胞分裂研究チーム

呼吸器形成研究チーム
交流会

初日の夜には、参加者同士はもちろん、配属研究室以外のメンバーとも交流の機会を持つことを目的に、交流会が開催されました。さまざまなバックグラウンドをもつ参加者たちが一気に打ち解けることができる絶好の機会となりました。



 
2016年8月23日(火)~25日(木)
講義

インターンシップ期間中に、平谷伊智朗チームリーダー、柴田達夫チームリーダーによる2つの講義が行われました。ご自身の研究内容だけでなく、研究者としてのこれまでの道のりや物事の考え方など、熱く語る先生方の講義に参加者は興味深く聴き入っていました。



各研究室で

配属先の研究室では、テーマに基づき、指導や実験が行われます。初めて見る機器、初めて触れる知見。すべてが刺激に満ちています。


Yoo生理遺伝学研究室

フィジカルバイオロジー研究チーム

細胞外環境研究チーム

形態形成シグナル研究チーム
オープンラボ

2日間にわたり、学生が配属先以外の4つの研究室を訪問する機会を設けました。「すべての研究室を見てみたい!」「いろんな設備を見てみたい!」参加者の好奇心は尽きることがありません。


大脳皮質発生研究チーム

感覚神経回路形成研究チーム

体軸動態研究チーム

染色体分配研究チーム

再構成生物学研究ユニット

発生エピジェネティクス研究チーム
2016年8月26日(金)最終日
研究発表会

最終日の午後には研究発表会が行われました。多細胞システム形成研究センターの濱田博司センター長からのあいさつに始まり、各チームがこれまでの実験内容を発表します。他のチームが発表するときは、司会やタイムキーパーなど進行面も担当しました。
ラボヘッドや研究員のみならず、参加者同士でも活発な質疑応答が交わされました。鋭い質問に窮地に立たされることがあっても、チームで力を合わせて乗り越える様子が印象に残りました。
今年は、研究発表会開催にあたり4つの賞を設けました。「構成賞」「理解賞」「考察賞」は本プログラムを企画した教育プログラム担当のラボヘッドが審査し、「学生投票賞」は、34名の参加者がよかったと思うチームに1票を投じます。各賞とも僅差だったため、審査員は非常に頭を悩ませました。


「構成賞」と「学生投票賞」のダブル受賞
大脳皮質発生研究チーム


「理解賞」染色体分配研究チーム

「考察賞」再構成生物学研究ユニット
 

発表会の最後には、藤原裕展チームリーダーから、限られた時間にも関わらず発表をまとめ上げた全てのチームに対して賛辞が贈られ、今年のインターンシップは終了しました。
参加いただいた皆さん、本当におつかれさまでした。
参加者の皆さんが未来への熱い思いを抱いてCDBを去った翌日、神戸には秋を思わせる涼しい風が立ちました。


みんなで記念撮影

 


インターンシップ生の感想文

京都産業大学 総合生命科学部動物生命医科学科 3年 浅井 皓平
『千載一遇』

「暑い夏に熱いサイエンス」大学の先生に紹介してもらったインターネットのリンクへ行くと、このような大きな文字が目に留まりました。そのサイトをもう少しよく読んでみると、理化学研究所多細胞システム形成研究センターにて、最先端の生命科学に触れることのできるインターンシップの参加者を募集しているとのことでした。私はこの時、こんなに魅力的なインターンシップがあるのか、と驚きました。私は将来、生命科学の研究職に就くことが夢でした。なので、一目でこのインターンシップに参加したいと強く思いました。
そして、なんと運よく参加することが決まったのです。インターンでは北島先生の染色体分配研究チームでお世話になり、卵母細胞の第1減数分裂について研究することになりました。担当していただいた研究員の方の指導はとても丁寧で理研の行っている研究の細部まで知ることができました。
ここでの体験で驚いたのは、最先端科学がすぐ目の前に広がっているということの発見です。この研究室の設備で出されたデータを見せていただいたとき、軽く疑問に思ったことや知らないことが、世界レベルで見ても解明されていないという事象が多く存在しました。言い換えれば、これについて決定的に証明できるような実験が行えれば、それは最先端の発見だということです。もちろん簡単ではありませんが、理化学研究所の方々はその最先端のレベルが目の前にある研究を進めておられます。また、このインターンでは北島先生のお話だけでなく、オープンラボでの研究室訪問や最終日の研究発表会、あるいはそこに同じく参加していたインターン生の話などで様々な分野からそれらの研究についての話を聞くことができました。
ここでの経験は、生命科学に興味がある人なら素晴らしいものになることは間違いありません。染色体分配研究チームの皆さん、CDBの皆さん、インターン生の皆さん、貴重な体験をありがとうございました。

 
お茶の水女子大学 理学部生物学科 3年 池川 優子
『インターンシップに参加して』

私は将来目指すか迷っていた研究者という職業を身近に触れ体験したいと思い,このインターンに応募致しました。
初めて触れるテーマや5日間泊まりでの実習、また同じ分野を学ぶ同世代の方々との交流をとても楽しみにしていましたが、その反面,理化学研究所のインターンということもあり、周りの方々の知識、技術の高さに自分がついていけるのかという不安もありました。しかし,私がお世話になったYoo生理遺伝学研究室の先生方は実験の概念やプレゼンテーションの基本から教えて下さり、私でも1つ1つを理解しその先を考えながら作業を行うことができました。
またそういった意欲の高いインターン生の方々の実験への取り組み、考察の仕方、プレゼンテーションの模様を見て自分に何が足りないか気付くことができ,これからの学習姿勢に多くの刺激を受けました。
またこのインターンは普段では考えられない程素晴らしい先生方と密に関わりを持てることも大変魅力だと感じました。実験やスライドの作成,プレゼンテーションの練習など全てつきっきりで面倒を見てくださり,休憩中には進路の選択に関わる相談などにも乗って頂きました。所属ラボの先生だけではなく,オープンラボや交流会を通して他のラボの先生方のお話も聞くことができ,より知見を広げることもできました。
普段あまり関わりのもてない研究所に入り込み直接肌に感じながら研究生活を送れるこのインターンはとても貴重なものであると感じます。全ての時間が有意義であり,参加した誰もが進路決定に関して大きな刺激を得られたと思います。
最後になりましたがこのようなインターンを設けて頂いた先生方,スタッフの方々に心より御礼申し上げます。

 
信州大学 医学部医学科 5年 酒井 爽子
『最先端の研究に触れた5日間』

理化学研究所インターンシップでの5日間は、私にとって人生の転機とも思えるほどのとても濃密で充実した時間でした。私は、今井猛先生の感覚神経回路形成研究チームに所属し、マウスの大脳皮質や嗅球の組織をSeeDB法により透明化して作った切片を顕微鏡で観察し、その形態学的な特徴から細胞の仕組みや働きを考察する実験を行いました。
実験を通して一番強く感じたことは、どんなに小さなデータにも、取り組み方次第で面白い考察が出来るネタが隠れているということです。今回はチーム3人で実験をし、データを解析して結果をまとめ、その結果についてじっくり考察しました。時間的制約のため全員が同じことについて頭を突き合わせるのが難しかった局面もありましたが、黙々と神経細胞に向き合いながら小さな発見をしていくうちに、いつの間にか夢中になって取り組んでいた自分がいました。細胞体から樹状突起、スパインの先端まで蛍光タンパク質で染められた細胞の美しさは本当に感動的で、筆舌に尽くしがたいものがあります。
また、基本的なことから今回の実験内容に至るまで、先生方に本当に手厚いご指導を頂けたことについても、感謝の気持ちでいっぱいです。参加前日まで、最先端の研究に畑違いの自分はついていけるだろうかという不安が尽きなかったのですが、顕微鏡の仕組み、使い方からサンプルへの遺伝子導入の方法まで、理解できるまで何度も丁寧に教えてくださった先生方のお蔭で、最終日の発表には自信をもって臨むことが出来ました。解析に時間がかかった日も先生方は夜遅くまで私達の様子を見に来てくださり、結果の考察、プレゼンテーションの仕方などにおいてたくさんコミュニケーションを取ることができ、学ぶことの多い楽しい1週間でした。
また、実験のことに留まらず将来の夢についても真剣に話し合える同志との出会いも私にとって大きな財産です。大学生活も残すところあと1年というタイミングで、このインターンシップに参加でき本当に良かったと思います。今井先生、藤本先生、柯先生、他先生方、事務局の方々、貴重な経験をさせていただいたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 
岡山大学 農学部 総合農業科 3年 福原 彩
『インターンシップを終えて』

私は農学部で生態学や昆虫学を学んでいます。専門分野は発生・再生ではないため、インターンシップの開始まではとても不安でした。実際には多様な学部から個性的な学生が集まっていて、専門分野が違うということはむしろアピールポイントだったように感じています。お世話になったラボで見覚えのある昆虫学の本を見つけたとき、安心したとともに、専門分野を深めるだけでなく様々な分野の知識を身につけることも大切なのだと改めて思いました。
実習ではライブイメージング画像の撮影を行いましたが、大量にあるショウジョウバエの卵から目的の発生段階のものを選ぶ作業では、何個も卵を潰してしまいました。他のチームでも繊細な作業に苦戦した学生は多かったらしく、様々な失敗談を聞きました。ラボの方々だとすぐに終わる作業も、私は数十分かかってしまいましたが、それでも根気強く見守ってくださっていたことに感謝しています。
日中はラボから出ず、夜は遅くまでホテルのラウンジで同じチームの仲間と一緒に解析を行っていたこともありました。しかし、最終日の朝、ラボの方からデータの扱い方を間違っていたことを告げられ、ほとんどの解析をやり直すことになりました。なんとか解析結果をまとめることはできましたが、どんなメカニズムがあってその結果になったか、ということを考察する余裕はありませんでした。発表の際、この点に関して他のラボの先生から質問され、答えられず悔しい思いをしました。少し辛いこともありましたが、だからこそ有意義な経験だったと思っています。
このインターンシップでは普段の大学生活では体験できない研究者の世界を少しだけ覗けました。また、知識や技術を教えていただけただけでなく、研究者としてどのように行動してゆけば良いか、といったことを先生方から伺うこともできました。今回出会えた先生方、仲間達との縁を大切にしたいと思っています。

感想文をご提供くださった皆様、ありがとうございました。