独立行政法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター
2004年11月29日


CDBがAsia-Oceania Fish Meetingを主催
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Asia-Oceania Fish Meetingが11月15・16日の二日間、CDB主催BSI共催で、第11回CDB meetingとして、理研CDBオーディトリウムで開催された。韓国、中国、台湾、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの7カ国から13名のゼブラフィッシュ研究者を招待し、日本のゼブラフィッシュ・メダカ研究者を含め、19名の研究者が発生、神経、ゲノム解析など研究成果を発表した。また、講演者のみならず、多くの日本のゼブラフィッシュ・メダカ研究者が、座長・聴衆として参加した(全参加者111名)。本会は初めてのアジア・オセアニア地区のRegional meetingであり、これからのこの地区の国際交流の進め方に関しても、活発な討論が行われた。今回の会合のオーガナイザーであるCDBの日比正彦チームリーダー(体軸形成研究チーム)から以下のコメントが寄せられた。


これまで、ゼブラフィッシュ・メダカを用いた研究の国際会議は、毎年アメリカとヨーロッパで交互に行われてきた。また、日本でも小型魚類研究会という名前で、毎年研究会を開いていた。元々日本では、メダカを用いた研究は伝統的に行われてきたが、近年ゼブラフィッシュ・メダカとも脊椎動物のモデル動物としての有効性が認められ、多くの研究者が小型魚類を用いた研究を始めており、研究人口が爆発的に増加している。特に、若い研究者達は、アメリカやヨーロッパの有名ラボでポストドクとして2-5年を過ごし、日本を含むアジア・オセアニア地区で自分のラボを持ち始めている。こういった状況のもと、アジア・オセアニア地区のゼブラフィッシュ・メダカ研究者の仕事の質が、明らかに高くなってきていることを、多くの人たちが実感している。そういった背景のもと、アメリカやヨーロッパで行われているような大規模(2000人規模)国際会議でなく、地域の国際交流も含めたRegional meetingの開催の機運が高まっていた。実際、昨年(2003年)、今回共同でオーガナイザーを務めた岡本仁(BSI)・武田洋幸(東大)両氏は、Asia-Oceania fish meetingを開催する計画であったが、SARS問題で断念せざるを得なかった。今年は、私が小型魚類研究会(Japanese Medaka and Zebrafish Meeting)の世話人を仰せつかっていたので、CDBの協力の下、11月14日に小型魚類研究会を神戸国際会議場にて、続けて15・16日にAsia-Oceania Fish Meetingを開催した。

Asia-Oceania fish meetingには、Regional meetingの意味も含めて、ゼブラフィシュ・メダカ研究が活発に行われている国から、少なくとも一人のPrincipal Investigator(PI)は来て頂くという形で海外から13人の研究者を招待し、日本の6人研究者の講演を行った。海外からの研究者の何人かは、前日に行った小型魚類研究会にも参加して頂、講演・ポスターセッションにも積極的な議論を行った(例年日本語で講演であったが、今年は英語での講演とし、ポスターも英語での記述とした)。日本でのゼブラフィッシュ・メダカ研究の活発さを、理解して頂けたのではないかと思う。Asia-Oceania fish meetingでは、一人30分という持ち時間で、それぞれの研究内容を深く掘り下げて講演して頂いた。アメリカ・ヨーロッパで行われている国際会議では、一人の講演時間が短く討論の時間が殆ど無い。今回は、十分な時間で講演内容が理解でき、深い討論ができたと、多くの方から評価頂いた。また、国内外の19人の講演を聴き、アジア・オセアニア地区のゼブラフィッシュ・メダカ研究の水準の高さを、改めて感じさせられた。

今回は初めてということもあり、1日目の夕方にRegional community meetingをBSI岡本仁氏の司会で行った。これからのこの地区の国際交流に関して活発な議論が行われ、(1)regional meetingを2年に一度行うこと、(2)meetingの規模を(アメリカ・ヨーロッパの国際会議の様に)大きくせず、一つのラボから2-3人が集まり、PIが講演しポスドク・学生がポスターで発表し、深い理解と議論をつくす形式で行う、(3)次回は、シンガポールで行う、などのこれからのアジア・オセアニア地区の国際交流の道筋が決まった。また、大規模変異体の収集の共同研究の提案もなされ、多くの議論がなされた。

ゼブラフィッシュ・メダカ研究者だけでなく、近年、アジア・オセアニア地区での国際交流の必要性が言われてきた。全国的な研究者Communityの交流は必要であるが、近接した国々での、レベルの高い国際交流(国際会議のみならず、共同研究も含めた交流)は、サイエンスのレベルを高めて行くためには必須である。本会が、ゼブラフィッシュ・メダカ研究者のアジア・オセアニア地区の国際交流の第一歩となった、と信じたい。



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