独立行政法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター
2008年6月25日

簡単便利なメチル化DNA解析ツール

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DNAのメチル化はエピジェネティクスやクロマチンリモデリングなどを始め様々な生命現象に関わる重要な要素である。DNAでは4つの塩基のうちシトシンがメチル化されるが、このメチル化シトシンを検出するためにはバイサルファイト法と呼ばれる方法を用いて検出する。DNAをバイサルファイト(亜硫酸水素塩)で処理すると、シトシン塩基はウラシルに塩基置換されるが、シトシンがメチル化されているとバイサルファイトによる反応から保護され塩基置換が起きない。バイサルファイト処理後のシーケンス解析で従来の塩基と比較し、ウラシルに変換されなかったシトシン塩基(シークエンス反応ではチミンとして表現される)をメチル化シトシンと同定する方法である。同定するためには得られたDNAシークエンスデータとゲノム配列をアライメントして比較し、さらに結果定量化のための統計解析という、煩雑且つ仕事量の多い作業が必要であった。

今回熊木勇一研究員(哺乳類エピジェネティクス研究チーム、岡野正樹チームリーダ)らは、この煩雑な作業を簡単に行えるソフトウェアQUMAを開発した。このソフトウェアは、バイサルファイト処理後のシークエンスデータのアライメント、CpGメチル化状態判定、図の作成まで短時間で一度に行えるツールである。この非常に便利なソフトウェアはオンライン公開されており(日本語版 : http://quma.cdb.riken.jp/top/quma_main_j.html、英語版:http://quma.cdb.riken.jp )世界中から自由にアクセス可能である。ソフトウェアの概要と詳細はNucleic Acids Research誌に掲載された。


QUMAの便利な特徴

バイサルファイト処理後のDNAシークエンスデータは、シークエンサーからの出力ファイルをそのままアップロード可能(プラスミドベクターの配列を除去する必要はなし)。
アップロードされたデータの品質をチェックし、ゲノム配列とのアライメント結果を数秒で表示。
二つのモードからの構成
    メチル化状態解析モード:1つのグループのバイサルファイト配列ついて解析
  統計解析モード:2つのグループのバイサルファイト配列についての統計解析
メチル化パターン図(図1)作成機能
QUMAをダウンロードしライブCD/DVD(起動ディスク)での使用可能。ネットワーク接続せずにツールを使用出来る。



図1:QUMAを用いて作成したDNAメチル化パターン図


熊木研究員は「このプログラムのコードは完全にオープンソースで、ウェブサイトを通じて配布しています。プログラムが基礎研究者、医学研究者に幅広く使用され、使用した研究者からのフィードバックをもとに、新しい機能を盛り込むなどさらにシステム向上したいと考えています。」と語る。今後もQUMAの発展に期待したい。

 

掲載された論文

http://nar.oxfordjournals.org/cgi/content/full/36/suppl_2/W170



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