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発生キーワード

発生生物学へようこそ

A. 細胞 Cell

液体に満たされた細胞の中には、エネルギーをつくり出すミトコンドリア、タンパク質を合成するリボソーム、細胞を形づくる細胞骨格などさまざまな小器官や構造体があります。細胞は生命の最小単位であり、全ての生物は細胞からできています。

B. 核 Nucleus

細胞の核には遺伝情報を担うDNA (デオキシリボ核酸)が格納されています。DNAはタンパク質と結合し、 クロマチンと呼ばれる構造に小さく折りたたまれています。細胞分裂の際にはクロマチンがさらに凝集して染色体となります。

C. DNA Deoxyribonucleic Acid

DNAは鎖状の分子で、A(アデニン)、 G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)と呼ばれる4種類の塩基が連なっています。このATGCの並び順に、遺伝情報が暗号化(コード)されているのです。AはTと、GはCと対合することで、らせん状の2本鎖を形成しています。ヒトの ゲノムは約30億塩基対ものDNAからなります。

D. 転写 Transcription

DNAの一部がほぐれて転写が起きています。転写は遺伝子の情報がmRNAに写し取られる過程です。最近では、さまざまな機能性RNAも見つかってきています。

E. 調節領域 Regulatory sequence

DNAには、mRNAに転写される遺伝子領域以外にも、「調節領域」や何をしているのか分からない領域もたくさんあります。遺伝子のON/OFFは、調節領域のATGC配列と、そこに結合する転写因子との組み合せで決まっています。

F. 翻訳 Translation

mRNAに写し取られた情報は、リボソームによってタンパク質に翻訳されます。タンパク質は細胞の構造をつくったり酵素として働いたりする機能分子です。このように、情報である遺伝子が実際に機能することを「遺伝子発現」といいます。

J. 発生 Development

受精卵は発生と呼ばれる過程を経て成体になります。受精から成体になるまでの体を胚と呼びます。

G. 幹細胞 Stem cells

幹細胞はいろいろな細胞の元になる未分化な細胞です。細胞分裂によって自己複製する能力と、分化する細胞を生み出す能力をあわせもちます。成体の体にも幹細胞が維持されていることが 知られ、それらを「組織幹細胞」または「体性 幹細胞」と呼びます。

H. 体細胞と生殖細胞 Somatic cells and germ cells

動物の体をつくる細胞のなかで、唯一次世代を形成できるのが、精子や卵子といった生殖細胞です。生殖細胞以外の体をつくる全ての細胞を体細胞と呼びます。

I. 細胞の分化 Differentiation

発生が進むにしたがい、それぞれの細胞は、 特定の機能をもつ成熟した細胞に分化していきます。脊椎動物の場合、まず内・中・外胚葉といった大まかな分化が起こり、やがて特定の細胞へと最終分化します。

K. ゲノム Genome

ヒトの場合、22種類の常染色体(1~22)と、性決定に関わる2種類の性染色体(X、Y)があります。これらを合わせた23本の染色体(性染色体はどちらか一方)に、ヒト1人が生きるのに必要な全ての遺伝子が含まれており、これをヒトゲノムと呼びます。ヒトの細胞核は、母親と父親由来のゲノムを1セットずつ受け継いでいるので、46本の染色体をもっています。