器官を再生する|歯科再生

再生歯胚移植による再生歯の萌出と咬合

蛍光標識した再生歯

再生歯胚移植直後

萌出した再生歯

器官原基法により再生した歯胚を移植することにより、成体マウス臼歯欠損移植モデルに、再生臼歯歯胚を移植すると、再生歯胚は成体顎骨内で正常に発生して、約60%の頻度(現在では約80%)で萌出し、対合歯と咬合すると伸長が停止することが明らかになりました。
再生歯のエナメル質および象牙質の硬度を測定したところ、成体マウスの正常歯と同等であり、「充分な硬度を有する再生歯」であることが示されました。
Etsuko Ikeda, Ritsuko Morita et al., Fully functional bioengineered tooth replacement as an organ replacement therapy. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 106, 13475-13480, 2009.
図:成体口腔内で発生・萌出した再生歯
(a) 人為的な再生歯胚に由来する光る再生歯
(b) 成体口腔内で発生し萌出・成長する再生歯

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成熟型再生歯の移植による歯の再生

再生歯ユニット実態像再生歯ユニットCT
再生歯ユニット組織像
再生歯咬合写真
臓器置換再生医療の目指すゴールは、成熟型の再生器官を移植し、即時機能させることです。私たちは、器官原基法により再生した歯胚を発生させ、歯周組織を有する再生歯ユニットを作製しました。
この再生歯ユニットを対合歯と咬み合う適切な位置になるように顎骨に移植をして、移植直後から咬合、維持させることが可能であることを示しました。
Masamitsu Oshima et al., Functional tooth regeneration using a bioengineered tooth unit as a mature organ replacement regenerative therapy. PLoS ONE, 6 (7) : e21531, 2011.
図:作製した再生歯ユニットと成体口腔内への移植
(a) 再生歯胚から作製した再生歯ユニット
(b) 再生歯ユニットを口腔内に移植して、即時に咬合させた口腔内写真(緑色に光る歯:移植した再生歯ユニット)

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骨性結合による再生歯ユニットの顎骨への生着

顎骨に生着した再生歯ユニットの組織像

歯根周囲に歯槽骨を有する再生歯ユニットを成体顎骨に生着させるためには、レシピエント歯槽骨との骨性結合が妥当であり、すでに臨床分野で確立された自家骨移植の生着率から考えても、実現可能かつ有用な方法であると考えられます。
再生歯ユニットを成体マウス顎骨に作成した歯の喪失部位に移植することにより、移植期間に伴って周囲歯槽骨との結合が認められました。

移植40日目には、再生歯ユニットと天然歯との間の歯槽骨が両者の歯根膜を介して一塊の骨組織として観察されたことから、骨性結合によりレシピエント顎骨に生着することが示されました。

図:再生歯ユニットの生着と歯槽骨再生
移植40日後の顎骨に生着した再生歯ユニットの組織像
(上図、下図は囲みの拡大像)。
NT:天然歯、BT:再生歯、AB:歯槽骨、PDL:歯根膜

再生歯ユニット移植による広範囲の骨欠損の再生

成体マウスの天然下顎骨と、広範性の骨欠損が起こった下顎骨

広範性骨欠損モデル(対象群)および骨再生(移植群)

歯の喪失部位では歯槽骨の吸収が起こり、インプラントや自家歯牙移植などの移植治療が困難になることが知られています。再生歯ユニットは、歯槽骨を有して移植できることから、骨欠損部位にも移植可能な治療技術になることが考えられています。そこで、広範囲に骨が欠損した部位に再生歯ユニットを移植したところ、歯槽骨の垂直的な再生を伴った歯の生着が認められました。

これらのことから、再生歯ユニットは、歯ばかりでなく歯槽骨を含めた包括的な再生が可能であることが示されました。

図:再生歯ユニットの生着と歯槽骨再生
(a) 成体マウスの天然下顎骨(左図)と、広範性の骨欠損が起こった下顎骨(下図、矢頭:欠損部)
(b) 広範性骨欠損部に再生歯を移植して、45日後のCT像の重ね合わせ像。天然歯槽骨レベル(一点鎖線:    )、広範性骨欠損モデル作成時の歯槽骨レベル(実線: )、再生歯ユニットの非移植群、ならびに移植群の歯槽骨の回復レベル(点線:    )。

歯の機能的な再生 歯周組織の再生

矯正模式図

矯正による骨リモデリング

歯と歯根膜の間に存在する歯周組織は、咬合力の緩衝を行うだけでなく、矯正などの機械的外力に応答して周囲の歯槽骨をリモデリングし、顎の成長・老化に伴う歯の移動を可能としています。

再生歯胚移植により萌出した再生歯、および顎骨に生着した再生歯ユニットに実験的な矯正行ったところ、圧迫側における骨吸収、ならびに牽引側における骨形成が認められたことから、再生歯の歯根膜は骨のリモデリング能を有することが示されました。これにより、再生歯の歯根膜は周辺の骨と連携機能する機能的な歯周組織が再生していることが示唆されました。

図:再生歯の歯根膜における骨リモデリング能
(a) 矯正力を加えた場合の歯の移動の模式図
(b) 天然歯(上段)と再生歯胚移植によって発生した再生歯(中段)、顎骨に生着した再生歯ユニット(下段)の矯正6日目における骨形成マーカー(OCN)、並びに骨吸収マーカー(TRAP)の発現の局在。矢印:矯正力の方向を示す。

歯の機能的な再生 神経組織の再生

再生歯への神経の侵入

歯は、外部からの侵害刺激に対する中枢への伝達機能(神経機能)を有しており、歯の保護や恒常性維持には欠かせない機能とされています。そこで、再生歯が天然歯と同等の生理的機能を有するかを明らかとするために、神経機能について解析を行いました。

再生歯胚移植による再生歯、ならびに口腔内移植後の再生歯ユニットの歯髄や歯根膜には、交感神経や知覚神経といった複数種の神経線維が侵入しており、矯正および露髄による侵害刺激を与えると、天然歯を刺激したものと同様に、外部侵害刺激を中枢に伝達することから神経機能が再生していることが判明しました。

図:再生歯の歯髄、歯根膜における神経侵入
天然歯と再生歯胚移植により発生した再生歯、および口腔内移植後の再生歯ユニットの歯髄、ならびに歯根膜の神経線維の分布を免疫組織学的に解析した。D:象牙質、P:歯髄、AB:歯槽骨、PDL:歯根膜。
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