生命科学一日体験講座実験実習

ショウジョウバエを用いた組織染色

ショウジョウバエとは?
ショウジョウバエは科学研究において100年近くモデル生物として活躍しています。
特に遺伝学の分野では、突然変異を誘発して興味深い表現系を示す変異体を作り、
その後その表現系の原因となる遺伝子を突き止める、という研究手法が主流です。
たとえば、四対の翅を持つハエの変異体(通常は二対)や、触覚が脚になる変異体など
の 研究から、ホメオボックス遺伝子というからだ作りの基本となる遺伝子が発見され
ました。このホメオボックス遺伝子によるシステムはショウジョウバエの翅や脚だけ
ではなく、ヒトまで保存されたからだ作りの基本であることがわかっています。
※ほかにもいろいろな変異体がいます

・毛が二本になる変異体:musashi(宮本武蔵が二刀流だから)
・雄が交尾をしない変異体:satori(satoriの境地)
などなど。それぞれの変異体には発見した研究者が独自に名前をつけるのです。
この膨大なハエ変異体はデータベース化され、各国のハエ研究者がアクセスできる
ようインターネットで公開されています。

発生学の分野でもその発生過程は詳細に研究され、ヒトにも同様のメカニズムがある
ことがわかってきました。
今年の体験講座では、ハエに人工的な遺伝子を組み込んだ、遺伝子組み換え体を用いて
実験実習を行います。
今回用いるのはある特定の場所だけに色がつく組み換え体です。このようなハエはもち
ろん自然界にはいませんが、目的の組織や器官を観察する上で非常に有効は方法です。

今回実験に用いるショウジョウバエ組み換え体
・beta-galactosidaseを発現する組み換え体
beta-galactosidaseとは大腸菌が持つ糖分解酵素ですが、X-galという化合物を加えると
これを基質として青く発色する物質ができます。beta-galactosidase遺伝子をハエに組み
換えると、X-galにより青く染まるハエになります。