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「高校生のための発生生物学実習講座2016」を開催

2016年12月28日
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理研CDBは日本発生生物学会、兵庫県高等学校教育研究会生物部会との共催で、高校生を対象とした1日の実習講座「高校生のための発生生物学実習講座2016」を12月26日に開催した。高校生が発生生物学研究を体験する機会を提供するとともに、「高校生物教職員のための発生生物学リカレント講座」(*科学ニュース:2016.10.7、以下「教員研修」)に参加した高校教員をティーチングアシスタント(TA)として迎え、各校での実践への橋渡しをすることを目的としている。今年で5回目となる本講座は毎年少しずつ開催形態を変化させているが、今年は企画・運営の中心的役割を兵庫県高等学校教育研究会生物部会所属の教員らが担い、会場も兵庫県立西宮今津高等学校で行った。兵庫県内の11つの高校から高校生23名と教員11名が参加。理研CDBからは、プログラム監修と当日の実習およびレクチャー講師を林茂生チームリーダーが、TAを板倉由季研究員(ともに形態形成シグナル研究チーム)が務めた。

  1. 講座の様子

今回の講座は、秋の教員研修に引き続き、ショウジョウバエを用いた発生遺伝学研究をテーマとした。林チームリーダーからショウジョウバエを用いた研究の歴史や有用性を紹介するレクチャーを受けた後は、幼虫・さなぎ・成虫をルーペや顕微鏡で観察。体節構造などに注目しながら、剛毛の一つ一つの配置に至るまで仔細にスケッチした。また、複数のさなぎを発生段階の順に並べ、さなぎの中で起こる変態のプロセスを観察した。さらに午後の実習では、伴性遺伝の代表格である白眼変異体を用いて、交配した子孫世代を雌雄および赤眼・白眼に分けて計数し、得られた結果から遺伝形質の伝わり方を班ごとに考察。複数の仮説を立て、実験結果をうまく説明できるものを選び出していくという、研究の基本的プロセスを体験した。

ショウジョウバエの実物に触れたり、また班の仲間と共に仮説検証のためのディスカッションをしたりと、普段の学校の授業ではなかなかできない経験に、生徒たちは疲れながらも充実した表情を浮かべていた。またTAとして参加した教員たちにも、教科書で習った知識と実際の観察結果とを結びつけながら考察を進める生徒たちの学びに寄り添い、応援することを通して、新たな発見や気づきがあったようだった。

  1. 集合写真
関連リンク 日本発生生物学会(JSDB)
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